Lesson5-2 筋肥大のメカニズム

筋肥大とは、筋肉の一つ一つの単位である筋原線維を太くさせることで、筋肉を大きく強くし、体積を増加させることを言います。

骨格筋は筋トレと食事法で人為的に筋肥大させることができます。

筋肉に与える物理的・科学的ストレス

筋肥大させるためには、筋肉にダメージを与えて筋線維を断裂させ、修復させる必要があります。
この修復する期間で筋肉は以前よりもパワーアップしていきます。

筋トレによって筋肉にストレスが加わることで、筋肉はストレスから守ろうとさらに強固になっていくのです。

では、筋トレによるストレスとは具体的にどんなものなのでしょうか?
ストレスには物理的なものと科学的なものが存在します。

  • 強い筋力の発揮
  • 筋線維の損傷
  • 無酸素性代謝物の蓄積
  • 低酸素状態

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まずは筋トレで筋肉が強い筋力を発揮することにより、脳へ筋肥大を促す指令が伝達されます。
その後実際に微細な損傷を受けた筋線維からの免疫反応などにより、さらに筋肥大を促すシグナルが発生します。

筋肉が筋トレによる負荷に抵抗することで、何度も筋収縮が起こると、血液中には乳酸・一酸化窒素・水素イオンなどが発生します。
これらは「無酸素性代謝物」と呼ばれ、蓄積することで筋肉へのストレスとなります。
また、これらが血中に増加することで筋肥大を誘発する成長ホルモンが分泌されます。

筋肉に負荷がかかり緊張状態が続くと、筋肉への酸素供給が減少します。
酸素供給が減少すると、酸素を多く必要とする遅筋線維だけではなく、酸素なしでもエネルギー代謝が可能な速筋線維も動員されます。
速筋線維が働くと、通常よりも無酸素性代謝物が発生しやすくなり、成長ホルモンの分泌がより活発になります。

 筋肉にストレスがかかる⇒ホルモンが分泌される⇒タンパク質合成⇒筋肥大

成長ホルモンの役割

成長ホルモンとは、その名の通り人体の成長を促すホルモンです。
成長ホルモンは脳の脳下垂体前葉から分泌され、たんぱく質の合成や骨格の発達を促進することで、身体を成長させてくれます。

子どもの成長にだけ関係していると思ってしまいますが、実は大人の体でも重要な役割を担っています。
成長ホルモンは確かに10代の頃が分泌のピークで、その後は加齢とともに減少していきますが、人為的に増加させることが可能です。

成長ホルモン増加に効果的なのは運動やトレーニングで、強度の高い筋トレなどもホルモン分泌には最適です。

テストステロンの役割

筋肥大に欠かせないホルモンとしてテストステロンがあります。
このホルモンは男性ホルモンの一種で、身体の男性化に最も関与していると言われています。

男性では精巣だけではなく副腎からも分泌され、女性も卵巣から分泌されます。
しかしその分泌量には大きな違いがあり、女性は男性のたった5%程度しか分泌されません。

身体全体の筋肉量が男性と女性で異なるのも、この男性ホルモンの影響なのです。

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テストステロンの成分はコレステロールです。
コレステロールは脂質の一種ではありますが、極端に不足するとテストステロンの分泌にも影響が出てしまいます。

筋サテライト細胞とは

テストステロンは筋肥大にも関係しています。

私たちの身体には「筋サテライト細胞」という細胞が存在します。
これは筋線維の表面に点在しており、筋肉がストレスやテストステロン分泌のシグナルを受けると、筋肉の損傷を回復させたり、筋肉をより強くするために活性化します。

筋サテライト細胞は、細胞分裂して自分自身と同じ細胞を作り出します。
筋肉が損傷した際には、細胞分裂を繰り返し、筋線維を修復しているのです。

いかがでしたか。ここまでは科学的な内容で筋肉を強くする仕組みを解説してきました。
次のページからはいよいよ筋肉を強くする食事について解説していきます。